「 knotted city: 現代日本の建築」:都市の絡み合いと建築美の探求

blog 2024-12-17 0Browse 0
 「 knotted city: 現代日本の建築」:都市の絡み合いと建築美の探求

複雑に絡み合った都市構造、その中に息づく建築の美しさ。本書は、現代日本の都市と建築の関係を、独特の視点で描き出しています。「 knotted city: 現代日本の建築 」は、建築家であり、都市計画研究者でもある藤森照信氏が、2013年に刊行した一冊です。

都市の「結び目」:複雑な関係性を解き明かす

この本のタイトル、「knotted city(結び目の街)」が示すように、藤森氏は現代日本の都市を「結び目」と捉えています。ここでは、建築物だけでなく、道路、公園、人々までもが複雑に絡み合い、一体となって都市を形成しているという考え方です。 彼は、この「結び目」を解きほぐし、都市の構造、機能、そして美しさを多角的に分析しています。

写真と図面による詳細な解説

本書の特徴は、豊富な写真と図面を用いて、建築物や都市空間の詳細を解説している点にあります。藤森氏の独自の視点で選定された建築物は、従来の建築史や都市計画論では取り上げられることの少ないものも多く含まれています。例えば、地方都市の商店街、住宅街、公共施設など、私たちの日常生活に密着した建築物が多数紹介されています。

各建築物の解説には、その歴史、設計思想、構造、そして周辺環境との関連性などが詳細に記されています。また、図面や写真によって、建築物の空間構成や素材感も視覚的に理解することができます。

テーマ:都市と建築の共存

本書で藤森氏が最も重視しているのは、「都市と建築の共存」というテーマです。彼は、建築物は単なる機能的なオブジェクトではなく、都市環境を形成する重要な要素であると考えています。建築物が都市の景観や生活にどのように影響を与えるのか、その具体的な事例を通して考察しています。

建築史・都市計画論の視点から

藤森氏は、建築史や都市計画論の専門家としての知識も活かし、建築物の設計思想や都市計画政策を分析しています。例えば、戦後の高度経済成長期に建設された大規模な集合住宅やオフィスビルは、当時の社会状況や技術革新を反映した建築物であると指摘しています。一方で、これらの建築物が現在抱えている問題点についても鋭く分析し、今後の都市開発の方向性について提言しています。

具体的な例:大阪の「梅田スカイビル」

本書で紹介されている建築物のうちの一つに、大阪の「梅田スカイビル」があります。このビルは、その独特なデザインと構造で知られていますが、藤森氏は、このビルの設計思想を「都市への貢献」という観点から分析しています。

彼は、梅田スカイビルの空中庭園が、都市住民にとって憩いの場を提供し、都市の緑化にも貢献していることを指摘しています。また、ビルの高層階部分に設置された展望台からは、大阪の街並みが一望できるため、観光客にも人気があります。

藤森氏の独特な視点:建築と社会の関係性

藤森氏は、建築を単なる「物」としてではなく、「社会との関係性」の中で考える建築家です。彼の著書を読むことで、私たち自身の住む都市や建築物に対する見方が変わり、より深く理解できるようになるでしょう。

本書の内容をまとめると:

  • 都市構造の分析: 都市を「結び目」と捉え、建築物だけでなく道路、公園、人々までもが複雑に絡み合っていることを論じている。
  • 建築物の紹介: 従来の建築史や都市計画論では取り上げられることの少ない建築物を多数紹介し、その詳細な解説を行っている。
  • 都市と建築の共存: 建築物が都市環境を形成する重要な要素であることを強調し、建築物と都市の関係性を分析している。

読者層: 建築に興味のある人、都市計画に興味のある人、デザインや空間について考える人、藤森照信氏の思想を知りたい人

本書の特徴 詳細
執筆者 藤森照信 (建築家、都市計画研究者)
出版年 2013年
内容 都市構造の分析、建築物の紹介、都市と建築の共存に関する考察
写真・図面 多数掲載

「 knotted city: 現代日本の建築 」は、現代日本の都市と建築の関係性を多角的に捉えた、興味深い一冊です。

藤森氏の独特な視点から、都市の構造や建築物の魅力を再発見できるでしょう。

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